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2004年11月8日発行
【オシャる技術】
第１３号
「ミズノンノの挑戦」
～前回のあらすじ～
テーマカラーを赤に決定したミズノンノ。
無事、ダウンを手に入れることに成功した。
「赤を広めたい」
そんなミズノンノの元に届いたある１通のメールとは？
唐突ですが、私、ミズノンノは、みなさんとお会いできるのもあと少しの時間かもしれません。
実は…
密かに、
髪を伸ばしてアフロヘアーにしようと思っているのです。
その時は、ミズノンノ改め
水野アフ郎
にリボーンしようと思っています。
残された短い時間を、よろしくおねがいいたします。
前回、「赤を広めたい」というボクの熱いメッセージを１万５０００人の人に向けて垂れ流したところ、
なんと・・・
１通
のメールをいただきました。
上手さん、と名乗る方からのメールでした。
ボクが前回みなさんに依頼したのは
「赤を着ている画像を送って欲しい」
上手さんのメールは次の文章で始まりました。
「ある、ミュージシャンのＣＤジャケットにインスパイアされた」
そのジャケットが
これなんですが。
上手さんの送ってきてくれた画像が…
これ。
何か、腹が立ちます。
（「立てた小指」と、「地味な顔」のコントラストが素敵でした。上手さん、ありがとうございました。）
しかし、
メール１通かいな。
あまりの反響のなさに肩を落とし、ボクは「ミズノンノ・スタイル」の企画の方向性を見直すことすら考えていた。
そんな折。
ある、１通のメールがボクの手元に届く。
件名： ドン小西のファッションチェック
ミズノンノさん。ドン小西のファッションチェックに出てみませんか？
ドン小西――。
ドン小西。
本名、小西 良幸
文化服装学院を卒業後、81年（株）フィッチェ・ウォーモ設立。
東京デザイナーズコレクション、ニューヨーク・デザイナーズコレクティブ、ロンドン・ザブリティッシュデザイナーショー等多数のコレクションに参加。
86年YOSHIYUKI KONISHIブランドを発表。
毎日ファッション大賞受賞、ファッションエディターズクラブデザイナー賞等、受賞多数。
シドニーオリンピック「日本代表選手団公式服飾選考委員会」委員等を歴任。
フジテレビ「特ダネ」、レギュラー出演中。
週間朝日「ドン小西」のいけてるファッションチェック」連載、
02年には「ドン小西のなんでもチェック！」出版など、幅広く活躍している。
精力的に作り出される作品群は、芸能人を含めた多くの人々に支持を受け、幅広い年齢層に熱狂的なファンを持つ。
平たく言うと。
日本ファッション界の重鎮である。
つまり、
ドン小西に認められれば、
それは、
ファッションリーダーとしての素質十分。
ドン氏は、現在、小学館のネットで、
「ドン小西のファッション激辛丼」
という連載を持っている。
まずは、ここでドン氏にボクの実力をまざまざと見せつけ、なんならその勢いで弟子入り。
そのままファッションリーダーへの道まっしぐら、というもうリアリティ満載のシナリオが一瞬で描けてしまったボクだった。
気合を入れねばならない。
さて、
それではドン氏に認められるべく、私は、ドン氏のファッション観を調べてみることにした。
すると、ファッション激辛丼の中でも、もっとも辛口の評価をしていたのが、以下の文面だった。
（以下、ドン小西氏のファッション激辛丼からの引用です）
あなたが人と違うのはどこ? 個性はどこだ? 自分のアイデンティティ、スタイル、自分のストーリーはどこだ? そういうものが、まったくみつけられないんだよ！
（中略）
定番のルールをいかにはずすか、ってところに個性やセンスがあらわれるんだよ。これ、オシャレの基本。もっと自分をぶつけてこなきゃ！！
自分をぶつけてこなきゃ――。
自分をぶつけてこなきゃ――。
自分をぶつけてこなきゃ――。
しかし、自分だけのアイデンティティ、スタイル、つまりオリジナリティとは一体何なのだろう？
前回、「顔が地味だろうが、自分の好きな色、着たらいいじゃん」ということを言ってはみたものの、その発想はオリジナリティとは遥か遠く感じる。
そこで、普通、誰もが思い浮かべる、オリジナリティとは・・・
こんなや、
こんなのではないだろうか？
最もオリジナリティが現れるポイントは、
「小物の使い方」
にあると思う。
小物やアクセサリー、をいかに自分的に着こなすか。
加えて、
ボクは、小物やアクセをオリジナルに着こなす「意味」も付け加えたい、と思った。
つまり、実用。
ファッションと実用を組み合わせたところに、ボクだけのスタイル。
「ミズノンノ・スタイル」
があると思う。
そこで、ボクは今回、７つのスタイルを提案する！
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．１
「クレソン」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．１ 「クレソン」
もやは説明の必要はないだろう。言わずもがな、水島新司の名作ドカベンのキャラクター
「岩城」
にインスパイアされ編み出されたスタイルである。
● 常に、クレソンをくわえている
ただそれだけの、シンプルなスタイルである。
しかし、このスタイルを甘く見てはいけない。
なぜなら、
クレソンには豊富な鉄分が含まれているからだ！
現代人に最も不足されていると言われている「鉄分」これを補給しながら、かつ、オシャレであるという点において、実用とファッションを兼ね備えた新世代のスタイルと呼べるだろう。
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．２
「シェイバー」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．２ 「シェイバー」
よく携帯電話をクビからぶら下げている業界人を目にするが、正直いただけない。
特に便利でもない、なんだか、これみよがしに「オレの携帯、鳴りっぱなし」を見せ付けている気がして、周りへの配慮、なんというか
「わびさび感」
が足りないのだ。
そこで私が考えたのは、この「シェイバー」つまり、髭剃りである。
髭剃りをクビからぶら下げて常備しておくことで・・・
え？ ヒゲ嫌い？
じゃ、剃る。
こういった瞬発的なマナーを見せつけることができるのである！
「相手の目の前でヒゲを剃る」
この行為は、料理人が、客の前でマグロをさばくその豪快感を彷彿させる。
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．３
「アンブレラ」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．３ 「アンブレラ」
アンブレラ。
その名の通り傘なのであるが、写真に注目されたい。
なんと、クビから下げているのである。
これは、私が開発したスタイルの中でも、最も実用的と言われる。
ふだん、雨が降りそうな日、みなさんは傘を持ってあるくだろう。
しかし、傘を持つということは、当然の帰結として、
「片手の自由を奪われる」
自由を奪われたらどうなるか？
「ダブルピース」ができなくなる。
「ハッスル！ハッスル！」ができなくなる。
様々な弊害が起きるのだ。
しかし、傘をこうして、
● 首に掛ける
ことによって、両手の自由が取り戻せ、また、昨今の日本不況、リストラ事情に対しても
「オレのクビに雨は降らせない」
という断固として意思表示をすることも可能だ。
さらに、個人的に一番うれしいのは、なんといっても・・・
本が読める。
さて。
勘の良いみなさんは、この絵を見て、ある人物に酷似していることに気づいたことだろう。
その人物とは・・・
二宮金次郎――。
そう。
少しの時間を惜しんで、書物を読み学問に従事した二宮金次郎そのスタイルなのである。
時代を超え、このスタイルを日常のファッションに取り入れる。
表面的なオシャレではなく、より深い意味でのファッション。
それが、このミズノンノ・スタイル「アンブレラ」なのである！
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．４
「パット」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．４ 「パット」
膝パットは、膝のクッションとなり、膝を痛めることを防いでくれる、有効なアイテムだ。
私は、この膝パットに目をつけた。
さて、
現代社会の、若者は、自尊心が肥大化し、皮相的なプライドに縛られ、自分が汚れる、自分が傷つくことを忌み嫌う。
しかし、それは、本当にカッコイイのか？
それは、本当にオシャレなのだろうか？
私は、そうは思わない。
温故知新。
この島国ジャパンが持つ、泥臭さ、粘り強さ、そういった文化がカッコ良く思われてならないのだ。
もうそろそろ、私がこの「膝パット」と提唱する理由がみなさんにも分かりかけてきたと思う。
そう・・・
土下座である。
日本の文化、土下座である。
私は、両手を突き、地面にはいつくばるその姿にこそ美しさを感じ、オシャレであると考える。
この膝パットは、つまり、「土下座推奨アイテム」なのだ。
膝パットさえあれば、どれだけ土下座しても、膝に負担がかからない。
「たのむから、２次会来て！」
合コン終わりで土下座することの多かった私の実体験から、開発されたスタイルである。
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．５
「イヤーウォーマー」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．５ 「イヤーウォーマー」
これからの季節の小物と言えば、意外にカワイイのがこのイヤーウォーマー、
通称「耳あて」である。
しかし、写真に注目されたい。
通常の耳あての使い方と若干異なるのがお分かりだろうか？
分かりやすく説明すると、
これが通常の使い方
ミズノンノスタイルは…
こう！
粋、である。
粋、そのものである。
思い出して欲しい。
ウォークマンの「ヘッドホン」を。
ヘッドホンも旧世代は、耳あてのように、頭のテッペンに支える部分がくるように、かぶられていた。
それがいつしか、後頭部にうつるようになった。
生々流転。時代は循環し続ける。
私は、耳あてにも、同じ流れが来るとにらんだ。
まさに、先見の明である。
このミズノンノ・スタイルはまちがいなく流行するだろう。
ちなみに、さらに次の世代を踏まえて、こういったスタイルも考えた。
私の「耳あて進化論」からすると、最終形はまちがいなくこうなるだろうが、
流行は、時代の半歩先を行く事が基本。
このスタイルが、街中でみられるようになるのは、少なくとも５年はかかると踏んでいる。
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．６
「風呂桶」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．６ 「風呂桶」
風呂桶である。
紛うことなき、風呂桶である。
この風呂桶を帽子代わりにかぶることで、とてつもない利益を得る事ができる。
１． ヘルメットとして、日常生活であなたを襲う衝撃を防いでくれる
２． 砂漠で、雨が降ったとき、この桶で水を貯めることができる。
３． 大道芸人の最期の「お金ください」パフォーマンスにも最適
つまり、帽子をかぶるより、風呂桶をかぶった方が、圧倒的にメリットがあるのだ。
どうして今まで気づかなかったろうか。
早く、この事実を世に広めねばなるまい。
そう決断した私は、ミズノンノ・スタイルとしてこの風呂桶を提唱する。
そして・・・
次は、最期のミズノンノ・スタイルになるのだが
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．７
「ボルックス」
ミズノンノ・スタイル エントリーＮＯ．７ 「ボルックス」
みなさんは、この「ボルックス」という名前を聞いたことがあるだろうか？
多分ない。
しかし、ミズノンノが提唱するスタイルの最期は、この
● ボルックスをリストバンドとして巻く
というところにある。
この発想は素晴らしく、このミズノンノスタイルを私は一番押している。
ちなみに、このボルックスというのは
精神安定剤
である。
日々ストレスにさらされる、私たち。
上司の陰湿ないじめ。
同僚の冷たい目線。
リストラ・裏切り
様々な怨念が私たちの周りをうずまいている。
そんな、ストレスに対抗する有効な手段として私は「精神安定剤」を押したい。
しかも、なんと、それをファッションにしてしまおう、という逆転の発想である。
ネガティブをポジティブに。
これは私の人生のテーマである。
ドン小西は、言った。
「君のファッションにストーリーはあるのか？」
私の結論は、この「ボルックス」だ。
この右手に掲げられた複数の錠剤にこそ、私の人生の全てが集約されている。
今、私が最も自信のある、スタイルが、この「ボルックス」だ。
ちなみに、左腕に巻かれている錠剤を全部を全部飲むと、素敵な世界へ旅立てる。
さて。
私は、この中のスタイルからいくつかを選択し、ドン小西氏にぶつけたいと思う。
次号は、さらに、パンツ、ブーツなどを手にいれ、遂に、ドン小西氏のファッションチェックという登竜門を開くことになるだろう。
ちなみに、パンツ・ブーツ・インナーに関しては、私にはある秘策がある。
次号、その秘策が明らかにしよう。